ウルトラマン昇天―M78星雲は沖縄の彼方

ひげぼうず

2007年01月06日 03:06

『ウルトラマン昇天―M78星雲は沖縄の彼方』 を読んでみた。


ウルトラマン昇天―M78星雲は沖縄の彼方
山田輝子著


この本は、ウルトラマンがウルトラの星に帰っていくお話、ではもちろんなく、ウルトラマンの生みの親と言っても過言ではない、故・金城哲夫氏の事について書かれた本だ。
金城氏は苗字からもわかるとおり、沖縄出身だ。
中学を卒業し、高校入学のため上京したらしい。
まだ沖縄が日本に返還される前の話だ。

この本を読むにあたり、インターネットで色々と金城氏について調べてみた。

・沖縄出身で、中学卒業と同時に上京し、東京の学校に通っていたこと。
・円谷プロの最初のスタッフの一人であること。
・ウルトラQ~ウルトラマン~ウルトラセブンなどの脚本を手がけていること。
・ウルトラセブンが終了し、程なくして沖縄に帰っていること。
・沖縄に帰ったあと、ラジオのパーソナリティや沖縄劇の演出をしていたこと。
・海洋博の演出の責任者だったこと。
・アルコール中毒になり、37歳の若さで謎の死(?)を遂げていること。


ウルトラマンというスーパーヒーローを生み出した金城氏。
その輝かしい功績に反して、後年は人生の泥沼にハマっていく。
そして、若すぎる死。

彼の人生に何があったのか。
何を想い沖縄に帰ってきたのか。
いったい彼は何になりたかったのか。

人間・金城哲夫に強い興味が涌き、そしてこの本を手に取った。

内容は、金城氏が玉川学園に入学するころからなくなるまでの間を、時系列に比較的客観的に、事実を元に書かれている。
前半は玉川学園時代、中盤は円谷プロ時代、後半は沖縄時代+現代(関係者への取材)などで構成されている。

この本は、金城哲夫氏の玉川学園時代の1年先輩で、金城氏が入試面接を受けるときのアシスタントをした山田輝子氏によって書かれている。
それゆえに玉川学園時代のことにウェイトを置いているのだろう。
金城氏の頭の良さ・行動力は学生時代にもすでに発揮され、そのあたりのエピソードが詳しく書かれている。
そして、このころから心のどこかに闇を抱えていたことも推測できる。

中盤は円谷時代。
このころは著者と金城氏の接点は全くなかったので、資料や関係者の記憶をたどることで書かれている。

そして後半。
残された奥さんや弟さん、妹さん、劇団の役者さん、芥川賞の大城さんなどとの会話を元に、なぜ金城氏は沖縄に帰ってきたのか、なぜ死ななければならなかったのかを丁寧に書いてある。

金城氏のより内面を知ろうとするにはやや弱い感もあるが、金城氏の人生の軌跡を客観的に丁寧につづってあるので非常に分かりやすい。

金城氏のことに興味が涌いたら、まずこの本から呼んでみることを勧める。





ちなみに、次はこの本を読んでみようかと思っているのだ。



読んだらまた紹介します。
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